港区に取り付け工事中のロートアイアンのゲート(門扉、門)が、工事中にも関わらず、素晴らしい見映えですので、ご紹介させていただきます。
私どものような、ロートアイアンによるフルオーダーメイド・ハンドメイドでしか成し得ない特徴が、いくつもあります。
まず、大きさが全幅約3.4m、高さが最高部で約2.8mと圧倒的で、これだけでも他ではあまり見ることの出来ない威容を誇ります。
次に、このゲートのデザインが着地するまでには、今回は特に多い5~6デザイン案を経ましたので、お客様にとっても、私どもにとっても、非常に感慨の深い素晴らしいデザインになったと思います。
この邸宅の奥には、さらに巨大な門扉が今回同時にいくつも取り付けられる予定ですが、ざっくりと言うならば、その全体にロートアイアンの世界観としては珍しい(ヨーロッパ由来の建材なので当然ですが)「和」テイストがふんだんに盛り込まれた、「松竹梅」モチーフのデザインになっています。
このゲートでは、扉中央部の装飾の中に、梅の花の装飾があしらわれていて、この梅の花も今回のためだけに特別に型から起こして製作したものになります。これが、その苦労もあいまって、とても感動するほどの出来栄えでした!
次に、日本の狭い国土の事情から、日本独特の敷地形状だと思われます、敷地延長状(=旗状敷地)で、通路の奥に本地があることの悩みをどう解消するか問題に対する一つの回答です。
今回もとても大きな邸宅ではありますが、敷地延長状の敷地条件でしたので、通路から本地に接続する部分を出来るだけ幅広く確保する必要がありました。そこで、この巨大な扉を支えるのに必要最小限の門柱幅に抑え、同時に門柱のデザイン性を確保しなければなりませんでしたが、これをわずか17cm四方に設定しました。
結果的には、そう言われなければわからないほどに、全体にマッチして、デザイン的に成功したと同時に、目的である通路幅の確保にも成功したと思います。
この門柱の上には、ヨーロッパではよく見かける、エントランスやアプローチの両側に台の上に丸い可愛い植栽が載っている装飾がありますが、これをモチーフとした新しいデザインの外灯照明が載る予定です。この照明はまた次の記事でご紹介しますが、これがまた素晴らしい出来栄えでした!
もちろん、この照明が載ってさらに素晴らしい見映えになったゲート全体も、改めてご紹介します。
次に、これも日本独特の敷地状況だと思いますが、敷地内でもかなりの高低差がある問題をどう解消するかに対する、一つの回答です。
敷地に高低差があって、ゲート(門扉、門)の幅が広い場合、扉が開く先で高低差にぶつかることがあります。
これを解消するためには、扉の下のスキマを高低差以上に高く開けておく必要がありますが、そうしますと門扉の見映えが非常に悪い。
そこで今回は、扉の下部に、もう一つフラップ開閉状の扉を仕込みまして、その扉を上に開くことで、普段はそうとわからなくしたうえで、扉本体の開閉時には扉下部に非常大きなスペースが確保されますので、どれだけ高低差があろうと、問題なく開閉出来るようになるのです。
また、ご覧の通り、全体デザインが崩れないように配慮していますので、閉まっている時には、そうと言われないとわからないほどになっています。いえ、言われてもわからないかも知れないほどに、上手く収まりました。
このゲートは邸宅全体で一番最初に目に入るもので、邸宅の顔となり、ファミリーやゲストをお迎えする一番最初の仕掛けになります。
そこでこのゲート(門扉、門)のセンター最頂部には、ファミリーのイニシャル「N」をあしらった装飾を戴冠し、ファミリーにしかないオリジナリティを存分に発揮しています。
家族や、会社、店舗だけのイニシャルや家紋、エンブレムをデザインすることで、まさに唯一無二の存在に昇華することも、フルオーダーメイド・ハンドメイドの最大の醍醐味ではないでしょうか。
最後に、このロートアイアンのゲートの足元には、時節柄、可愛いらしい草花が咲き誇り、文字通り全体の見映えに花を添えてくれています。
ロートアイアンはヨーロッパ由来の建材と申しましたが、まさにヨーロッパの街並みや邸宅が美しいのは、ヨーロッパが文化的に植栽を見事なまでに生活に取り入れているからだとも言えます。
ロートアイアンと植栽は切っても切れないものであり、植栽があるからロートアイアンがより美しく映えるのです。
記事:ロートアイアンデザイナーT